WebライターERIの日記帳

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【読書感想文】ただの独身女性の孤独死ではなかった…!社会派ミステリー小説「絶叫/葉真中顕」

こんにちは!WebライターのERIです。

今回は、ドラマ化もされた葉真中顕の作品「絶叫」の感想を書いていきます。

 

たまには違うものを読もうと思って購入した新書の内容が、私の感覚とまったく合わなくて苦痛でした…。そこで、次は好きなジャンルを読む!と思い、手に取ったのが社会派ミステリー(笑)

葉真中顕さんの作品を読むのは初めてでしたが、引き込まれました。他の作品も読みたいです。

 

というわけで、ネタバレ有りの感想を書いていきます。

ネタバレを見たくないよ!という人は、作品を読んでから戻ってきてください!笑 

 

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鈴木陽子の家庭環境

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サラリーマンの父、専業主婦の母、そして弟。

マイホームで暮らす鈴木陽子を含む4人家族は、傍から見たら普通の一般的な家族そのものです。

しかし、家庭の内情はかなり歪んでいます。

 

この作品の魅力の1つは、鈴木陽子の不幸な生い立ちでしょう。

時系列に沿って考えます。

 

父がほとんど家にいない家庭で、母は弟ばかりに目をかけ、陽子には辛くあたります。

そんな弟ですが、陽子が中学生のときに自殺。

母は「理想の息子」を頭の中に生み出し、生きているときよりもさらに弟の純に執着するようになりました。子どもへの愛情を全て亡くなった純に注いでいるといった方が表現的に正しいのかな。

  

その後、陽子は高校、短大を卒業して地元で事務員として働き始めます。

 

不幸は突然訪れる。

父、失踪。

 

父が突然いなくなりました。家族の知らないうちに早期退職して会社にも在籍しておらず…。理由は多額の借金でした。

 

「父は借金から逃げたのではない、私たち家族の暮らしから逃げたのだ」というような内容だったと思うのですが…。このような陽子の思いに、なるほど、と感じました。

同じ家で暮らしている、というだけの関係性。家族と一緒に生活を立て直そうという気持ちがまったくなかった父。

 

しばらくすると家の抵当権が実行され、家から出ていくことになりました。母は地元に帰ることを決めており、陽子は賃貸物件を借りることにしたのでした。

 

それからしばらくして、かつて中学生のときに恋をした山崎と偶然の再会。

山崎は漫画家という夢を追い続けていました。

しばらくして雑誌でのデビューが決まり、上京を機に陽子へプロポーズ。

陽子も地元を出て東京で暮らしたいという憧れがあり、山崎についていくことにしました。

 

ここが鈴木陽子の人生におけるピークだったと思う。

このまま、運命の再会を果たした山崎と幸せに暮らしていければよかったのに……。

 

山崎との幸せな生活は長く続きませんでした。

 

山崎、不倫。そして相手が妊娠。

 

最低男ですね!!!!!!

鈴木陽子のこれまでを考えれば、やっと居場所をみつけて幸せを掴んだと思ったのに!!!!

 

と、私は思ってしまいました。

 

居場所を求めて

母からはいつも弟と比較され、同じことをしても弟は褒められて自分は詰られるという家庭環境で育った鈴木陽子。

地味な容姿で平凡な頭脳。特別な才能があるわけでもない。

いつも「自分の居場所」を求めているように感じられました。

自分を必要としてくれる人の存在。拠り所。それが欲しいのです。

親から愛されずに育った人は理解しやすいと思います。

自分に自信がないのです。無条件で人に愛されたことがないから。

 

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人生の岐路

誰にでも、人生の分岐点ってありましたよね。

ここでの選択が未来に影響するという、人生の岐路。

 

鈴木陽子の場合、転落への分岐点がいくつかありました。

  • 父親の蒸発
  • 山崎の不倫→離婚
  • 保険の外交員で枕営業
  • お金の為にデリヘル嬢→ホストとの同棲でDVにあう
  • デリヘル嬢狩りされる→神代との出会い
  • 保険金殺人

この辺かなぁ。

羅列しただけでもすごい内容(笑)

陽子にはどうしようもない不運な出来事が多すぎます。

 

人生とはただ降ってくるもの

 

陽子は人生についてこのように悟っていました。陽子の視点から見れば、そう思いますよね。

 

計算された伏線

ずっと「あなた」という二人称語りで物語が進んでいくので、鈴木陽子の物語ではあるけど誰が語っているんだ???????と疑問に思っていました。

ラストで「わたし」が出てきたとき、全てが繋がりました。

 

 

注)ネタバレです

 

 

 

 

なるほどね。

「わたし」は鈴木陽子だったけど、新しい人生を送れるように別人を乗っ取ったんだ。

代わりに亡くなったのは「鈴木陽子」とされた別人。

 

このあたりは、宮部みゆきの火車を彷彿させますね。個人的には火車の方が好きかも。

 

失踪した父親もラストで活用されていました。DNAが一致しない。

ラストで一気に伏線が回収されていくので読んでいて楽しかったです。

 

おわりに

死後数ヶ月放置されて猫に食い散らかされた死体から始まるので、 悲惨な描写が続きます。ちょっとしんどかったです。

私は生きていて「人生とはただ降ってくるもの」と思っていないので鈴木陽子には共感できませんが、それでも悲惨な人生、度重なる転落に胸が締め付けられました。

歪んだ家庭環境、不倫、DV、パワハラ、クレジットカードの支払い苦、保険金殺人…様々な社会問題が散りばめられています。

 

ぜひ、みなさんも読んでみてください…!